彼と別れた頃の話です。

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私の1人暮らしの小さな部屋には、

彼の「残骸」が沢山のこっていました。

歯ブラシ。着替えの下着。男性用のジャージ。

ひげそり。

話すだけ話をして、ぶつかるだけぶつかった私たち。

「離れ離れになる」以外の選択肢は無かった。

これは仕方のないことなんだ。

そう心で繰り返しながら、彼の残骸を片付けていました。

不思議と涙は出ませんでした。

心の中で納得している証拠なのだと思っていたのですが・・・。

それから数日後。

友達にも「別れちゃった」と報告をし、

「ちゃんと話し合ってだした答えだから安心して」

と言いました。

思ったよりも傷が浅い。

自分自身そう感じていました。

そんなある日に私はキッチンに立っていました。

洗い物をしている時に、洗剤で手を滑らせてコップを割ってしまいました。

思わず「あ~あ」と声が出ました。

片付けなきゃと箒とちりとりを手に持ったとき、割れたコップをみて泣きました。

彼と一緒に買ったコップでした。

一気に思い出がよみがえり、その場でしゃがんで泣きました。

「泣かなかった」のではなくて、私は事象を上手く飲み込めずに、

「泣けなかった」だけだったんです。

すこし後になってやってきた失恋の痛手。

暫くは彼のことが頭から離れない日々を過ごしていました。


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